株式会社ヨコオ

IR情報INVESTOR RELATIONS

トップメッセージ

「常に時代の先駆者でありたい」 代表取締役 兼 執行役員社長
徳間 孝之

当社グループは、2022年9月に創業100周年を迎えるにあたり、現行の企業理念体系を見直し、新たな企業理念体系を策定いたしました。さらに一段高いステージに上がり事業を成長させていくために、社会への貢献も意識した「パーパス(存在意義)」、「ビジョン(目指す姿)」、「バリュー(行動指針)」の3つで構成しております。

経営の基本方針

  1. 品質第一主義に徹し、最高品質と環境負荷物質ゼロ化により、「ヨコオ品質ブランド」を確立する
  2. 「技術立脚企業」として、アンテナ技術・マイクロウェーブ技術・表面改質材料技術・微細精密加工技術をさらに強化・革新するとともに、製品の付加価値向上に貢献する新技術を積極的に導入し、顧客の製品機能多様化・適用技術多様化へのニーズに応える
  3. プロダクト・イノベーション(事業構造・製品構造の革新)、プロセス・イノベーション(事業運営システムの革新)、パーソネル・イノベーション(人材の革新)の3つの革新に加え、将来成長を見据えた、マネジメント・イノベーション(経営・事業運営の革新)を強力に推進することにより、「進化経営」の具現化を加速する
  4. 業界/顧客/技術/サプライチェーン等の事業構造を重層化することにより、世界的パラダイムシフト/ドラスティックな事業環境や競争環境激変に対応可能な事業体制を確立する

目標とする経営指標

中期経営基本目標

当社グループは、新たな中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を策定し、以下の指標を中期経営基本目標として掲げております。

ビジネスモデル革新による質の高い本格成長とミニマム10(テン)の安定的な実現 ミニマム10(テン):
売上高営業利益率・営業利益成長率・ROIC(投下資本利益率)・ROE(自己資本利益率)を10%以上確保

中長期的な会社の経営戦略

当期(2023年3月期)におきましては、当社グループは持続的な企業価値の向上を目指すとともに、より一段高いステージでの社会貢献の実現に向けて、経営の基本方針に掲げる4つのイノベーション(プロダクト/プロセス/パーソネル/マネジメント)の推進に取り組みました。
また、当社グループのターゲット市場である自動車/半導体検査/携帯通信端末/先端医療の各市場は、基本的に成長市場であり、5Gや自動運転など新たな社会インフラを形成する技術・製品の開発・普及により、中長期的な拡大が期待されております。当社グループは、これら主要市場においてより優位なポジションを獲得・確立するべく、経営の基本方針に掲げる「進化経営」と「重層化経営」をさらに進化させ、一段上の全社成長と強靭な高収益構造を追求してまいります。

この考え方に基づき策定した中期経営計画の重点施策は、以下のとおりです。

新中期経営計画の重点施策

  1. 「重層化経営2.0」への進化
    1. 新中期経営目標「ミニマム10」の設定による、資本効率重視型マネジメントへの転換
    2. 社内カンパニー制の導入・運用による、事業ポートフォリオ最適化の促進
    3. インキュベーションセンターの下での新規事業化テーマの事業化推進
    4. 人的資本経営の要としての人財育成センターの設置・運営
  2. インキュベーションによるプロダクト・イノベーションの進化
    1. 通信事業領域におけるインキュベーション
    2. 先端デバイス事業領域におけるインキュベーション
    3. 回路検査用コネクタ事業領域におけるインキュベーション
    4. メディカル・デバイス事業領域におけるインキュベーション
  3. プロセス・イノベーションの進化
    1. ITグランドデザインに基づくDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進
    2. ECM(エンジニアリング・チェーン・マネジメント)改革の継続推進
    3. AI/IoTも活用した次世代新5S生産ラインの構築
    4. サプライチェーンの構造改革
    5. エコシステムの構築とアライアンスの推進
  4. パーソネル・イノベーションの進化
    1. ジョブ型人事制度の深化
    2. 戦略人材の積極的獲得
    3. 人財育成・リカレント教育
    4. 後進育成/他部門連携などの評価体系への組み込みとカフェテリア方式のフリンジベネフィット体系整備
  5. マネジメント・イノベーションの進化
    1. 資本コスト経営の推進
    2. お客様のニーズに直結した事業運営の推進
    3. リスクマネジメント体制の強化

上記の重点施策を強力に推進することにより、本中期経営計画期間において中期経営基本目標である「ミニマム10」の安定的な実現を目指してまいります。

会社の対処すべき課題

世界経済は、新型コロナウイルス感染症の席巻からの回復途上にありますが、一部には依然として供給停滞・調達難などの影響が残っており、当社事業環境も、エネルギー価格の高止まりや半導体不足、急激なインフレーションによる景気悪化など極めて不透明な状況にあり、2024年3月期は近年になく厳しい事業運営を迫られております。このような状況下で、当社グループは以下の点に重点的に取り組みます。

  1. 車載通信機器セグメント:収益体制再建

    事業・市場環境の一大転換(インド市場急拡大/CASE/EV急増/温暖化ガス排出量削減等)をチャンスと捉え、製品原価~事業構造まで全面的な徹底改革により、安定収益事業へ

  2. 回路検査用コネクタセグメント:ソリューション提供ビジネスへの進化

    半導体前工程検査領域でのターンキービジネスのさらなる拡大と進化、半導体検査市場の需要回復に備えた生産体制抜本強化とBCP体制強化

  3. 無線通信機器セグメント

    ファインコネクタ事業:コアコンピタンスの研鑽による競争優位性の確立と、当社らしさを活かした新たな顧客価値の創出によるコネクタソリューションプロバイダへの進化

    メディカル・デバイス事業:プロダクト・ライフサイクルを通したグローバル品質システムへの転換を図り、先端医療分野における企画商品開発・開発型OEMサプライヤー+ベンチャーエコシステム構築により、飛躍的な事業拡大を実現

  4. インキュベーション・センター

    MaaS/IoT等新規成長市場や、さらなる高速大容量通信に向けた光通信市場に対し、新たなビジネス創出・ビジネスモデル革新を目指した取組みを推進

また、新中期経営計画の期間を超える長期的施策として、以下の取組みを推進してまいります。

基礎研究

増資による調達資金を活用し2023年3月に竣工した新技術棟「MPセンター」を中心に据え、微細精密加工技術とマイクロウェーブ(高周波)技術をはじめとする当社のコア技術をさらに強化し、長期にわたる成長力を生み出す基盤となる基礎研究を推進します。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)

開発・調達・生産・販売の各現場の生産性向上と効率化による顧客への価値提供迅速化はもちろん、これらの現場およびヘッドクォーターのリアルタイムの相互連携強化により、経営意思決定スピードおよび変化対応力のさらなる向上を目指します。

ESG(環境・社会・ガバナンス)

2020年に設定した3つのマテリアリティ(重点課題)である「環境」、「地域社会」および「多様性と包摂性」に取り組み、各施策で設定したKPIの達成を目指します。

これらを着実にかつ強力に推進することで、次に到来する成長機会をより確実に捉えるための態勢を整えながら現下の厳しい経営環境を乗り切り、中長期的には、激変の中でも揺るがない圧倒的な強みを確立するとともに、ステークホルダーの皆様と新たな価値の協創に邁進してまいります。