STORY03 イノベーションを繰り返してきた、ヨコオの歴史。
自動車市場/半導体検査市場/携帯端末市場/先端医療機器市場をはじめ、社会インフラ用システム市場に至るまで。ヨコオは、さまざまな領域で革新的な技術や製品を生み出してきた。その源泉にあるのは、創業以来大切にしてきた「常に時代の先駆者でありたい」という想い。創業者の時代から続くヨコオのイノベーションの歴史は、今にもしっかりと受け継がれている。
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01 創業から拡大へ 横尾製作所の創立と、
コア技術の確立。創業者の横尾忠太郎が横尾製作所を設立したのは大正11年。当時は精密パイプ加工工場として、主に懐中時計の部品を製造していた。しかし、昭和に入ると腕時計が主流となり、経営が厳しくなっていく。そんな中、忠太郎が目をつけたのは、腕時計の留め具だ。当時の腕時計は、本体とベルトを縫い付ける一体型が主流で、ベルトの交換に手間がかかった。これに対し、忠太郎は精密パイプ加工の技術を応用して細いパイプの中にバネを仕込み、両端が伸縮する「バネ棒」を発明した。これにより、本体とベルトの着脱が容易となり、世界中の腕時計メーカーから注文が殺到、その供給量は世界一のシェアとなったのだ。
やがて、1950年代に入り精密パイプ加工の技術は、トランジスタラジオの「ロッドアンテナ」の開発へと受け継がれていく。伸管技術の知識を活かしてスムーズな伸縮を可能にし、高感度も実現したロッドアンテナは世界中の家電メーカーから注目を集め、世界シェア70%強を獲得、会社は大きく躍進した。ヨコオの<ものづくり>の原点となったのは、精密パイプ加工の技術だったのだ。この後、カーアンテナへの応用など事業領域を拡大し、その中で培ったアンテナ技術は、現在の主力事業である車載通信機器事業のコア技術となっている。 -
02 第二の創業 第2の創業。
横尾からヨコオへ。1970年代には世界同時不況やオイルショックなどにより当社も事業・経営の危機に直面したが、次代に必要とされるものを生み出すというヨコオならではの精神で事業構造改革を断行した。ロッドアンテナ等の伝統的なメカニカル製品を主軸とした事業構造から脱却し、当時の最先端技術だったマイクロウェーブ技術の導入を決意、開始されたばかりのBS放送向け通信機器を開発する。また同時に、バネ棒の構造と微細精密加工技術を駆使した基板検査用のコンタクトプローブや、電子機器用のスプリングコネクタを開発するなど、既存技術の深化も図った。こうして、横尾製作所はエレクトロニクスメーカーへと進化しながら、事業領域と規模を着実に拡大。1990年にはグローバル経営を推進するため、社名を「ヨコオ」に変更した。
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03 進化する意思、確かな技術 世界の人々に必要とされる技術。
そして、さらなる挑戦へ。精密パイプ加工からはじまったヨコオのものづくりの歴史は、数々の技術・製品開発のイノベーションを起こし、メカニカル製品からエレクトロニクス製品へと進化を遂げてきた。今日では、ヨコオの業界最高水準のコア技術は自動車、電機、医療などの各分野で世界の人々の安全で快適な生活を支える製品を生み出すために欠かせないものとなっている。ヨコオは技術を深化させることで、次の時代を創ってきた。そして、これからも常に時代の先駆者として、世界のお客様に先端技術と革新的な製品を提供するために、さらなる挑戦を続けているのだ。
SPECIAL COLUMN
技術を活かして新たな領域に挑む。
自動車市場、半導体検査市場、携帯端末市場の分野で高いシェアを獲得する中、新たな事業領域として医療に注目し、MD(Medical Devices)事業を立ち上げたのは2006年。既存の分野で培った知識や技術を新たな領域へと活かして事業化し、現在に至るまでの軌跡を探っていく。
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コンマ1ミリ以下の精巧さ。
独自技術で医療に貢献。新たな事業をはじめるにあたり考えたのが「長い歴史の中で独自に培ってきたヨコオにとって原点ともいえる『微細精密加工技術』をどう活かすか」だ。競争優位性、技術との相性、新規性……あらゆる視点で探った結果、狙いをつけたのが医療機器分野だった。
人の循環器は非常に繊細で微細なものであり、医療機器の製造には精密で高度な技術が求められる。そこに「微細精密加工技術」を応用すれば、そのニーズに十分応えられると確信したのだ。
事業化に向けて最初に着手したのがカテーテルという高度管理医療機器の部品製造だ。コンマ1ミリ以下の精巧さが求められるカテーテルだが、ヨコオはそれまで市場に出回っていた部品よりも高い品質で仕上げることに成功する。製品の品質はもちろん、操作性の良さや生産量・量産速度など、ヨコオ製の部品はさまざまな面で医療機器メーカーから評価され、医療業界への参入を果たした。 -
技術の深化によって
事業を進化させる。医療分野への進出を果たしたヨコオだが、挑戦はそこで終わりではない。
患者の負担軽減を目指す低侵襲治療への需要が高まる中、使用される医療機器の性能もますます向上している。同じ部品を製造し続けているだけでは事業の成長にいずれ限界が見えてくる。常にお客様に求められる存在であり続けるためにはどうすべきか―そう考えた末に行き着いたのが、お客様のニーズに合わせて部品同士を接合してひとつの製品へと仕上げる「アッセンブリ製品」の製造だった。
新たな領域に挑戦し、事業として軌道に乗せるまでの道のりも決して平坦なものではなかったが、そこからさらに「技術の深化」を図ることでMD事業はさらに進化していく。 -
高い評価を頂いた
独自の技術。ヨコオ初のアッセンブリ製品として量産に成功したのがガイドワイヤだ。「今やガイドワイヤはMD事業を支えるOEM製品のひとつだが、ここまで高い評価を得ることができたのは『異種材料接合技術』にある。」と語るのは、前事業部長であり現在は営業本部の顧問を務めるTだ。
「異種材料接合技術」とは、異なる種類の材料を接合する技術のことだ。同じ種類の材料を接合するよりも難易度が高く、より精密な技術が求められる。また、ガイドワイヤの外径はわずか0.3mm程度。それほど微細なものを正確に接合できる企業は世界でもごくわずかであり、日本国内ではヨコオが唯一といっても過言ではない。
ヨコオ製のガイドワイヤは競合品の中でも高く評価された。それを機に医療機関などとの連携をスタートし、事業領域をさらに拡大していった。
「ヨコオ品質」を世界へ。
現在の事業部長であるIは、「日本製の医療機器は非常に品質が高く、ヨコオの技術はその評価の一端を担っている。ヨコオが製造に関わっている医療機器の世界シェアはまだ僅かなものかもしれないが、我々が持つ技術は間違いなく世界で戦えるレベルだ。我々の進むべき道はその技術を武器にシェアを着実に伸ばし、世界中に『ヨコオ品質』を広め医療機器の進化を望む多くの人々に貢献することだ。」とMD事業の未来について力強く語る。
さらにTも続ける。「世界で最も医療技術が進んでいる国はアメリカで、その市場規模は日本の約10倍だ。また、現在日本国内に流通している医療機器の半分以上は海外製とも言われており、中国やヨーロッパなどさまざまな医療大国が立ち並ぶ。その中で我々が目指すべきは『ヨコオ品質』の医療機器をひとつでも多く世界に発信することだ。」
既存の分野を追求するだけでなく常に新しい分野へと目を向け、挑戦することで誕生したMD事業。これからも、社会に貢献する新たな製品を生み出し続け『ヨコオ品質』を広めていく。